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蓬田 匠; 大内 和希; 岡 壽崇; 北辻 章浩; 駒 義和; 今野 勝弘*
Scientific Reports (Internet), 12(1), p.7191_1 - 7191_10, 2022/05
被引用回数:5 パーセンタイル:53.82(Multidisciplinary Sciences)福島第一原子力発電所2号機トーラス室滞留水に含まれる線放出核種の存在形態を、走査型電子顕微鏡X線検出(SEM-EDX)やアルファトラック法により分析した。SEM-EDXによる観察の結果、Uを主成分とするサブm数mサイズの粒子を複数同定できた。これらの粒子はZrなどの燃料被覆管や構造材を構成する元素を含んでいる。また、同じ粒径フラクションの固形分に含まれるU同位体比(235/238)は、原子炉燃料のそれと一致した。このことから、U粒子は原子炉に由来し、これが微細化したものであることを示している。アルファトラック分析により同定した核種含有粒子は、粒径数10m~数100mのサイズであり、SEM-EDXの元素分析の結果、鉄を主成分としていた。核種の物質量は極わずかであることから、Pu, Am, Cm等が鉄粒子上に付着する形態であると考えられる。分析した滞留水中の固形分試料では、Uと他の核種の存在形態が異なる場合があることが明らかになった。
蓬田 匠; 江坂 文孝; 間柄 正明
no journal, ,
本研究では、環境試料中のウラン微粒子本来の化学状態を分析することを目的に、アルファトラック法によりウラン含有微粒子を検出し、その化学状態を顕微ラマン分光法で測定する方法の検討を行った。試料としては、UO、およびUOの化学形を持つウラン微粒子を用いた。粒子を含むフィルムをアルファトラック検出器(TNF-1)に12ヶ月間曝露した。曝露後の検出器中のアルファトラックの飛跡から、フィルム中のウラン含有粒子の位置を特定し、顕微ラマン分光測定を行うことで個々のウラン微粒子のラマンスペクトルを取得した。その結果、UO、およびUOの構造に由来するラマンピークが観測され、それぞれの構造を持つウラン微粒子の化学形を同定することができた。
蓬田 匠; 大内 和希; 岡 壽崇; 北辻 章浩; 駒 義和; 今野 勝弘*
no journal, ,
2号機トーラス室の滞留水には、燃料由来と考えられる核種が含まれていることが、ICP-MS及び線スペクトロメトリの分析結果から明らかになっている。これらの核種の存在形態を知るために、燃料主成分であるUと、他の核種(Pu, Am, Cm等)に大別し、走査型電子顕微鏡-X線検出(SEM-EDX)およびアルファトラック法により、核種含有粒子の検出を試みた。最深部滞留水から回収した微粒子状固形分の一部をカーボンテープ上に薄く塗布して観察試料とした。SEM-EDXによる観察の結果、Uを含有するサブmから数mサイズの粒子を複数同定できた。これらの粒子はZrなどの燃料被覆管や構造材に由来する元素を含んでおり、微粒子化した燃料デブリの可能性を示唆する。アルファトラック分析により同定した核種含有粒子は、粒径数10mから数100mのサイズであり、SEM-EDXにより元素分析したところ、鉄を主成分としていた。核種の物質量は極わずかであることが示唆され、Pu, Am, Cm等が鉄粒子上に付着する形態で存在すると考えられる。このことから、Uと他の核種の存在形態は異なることが明らかになった。
蓬田 匠; 大内 和希; 岡 壽崇; 北辻 章浩; 駒 義和; 今野 勝弘*
no journal, ,
福島第一原子力発電所(1F)廃炉作業の一環として、原子炉建屋に存在する滞留水の処理が進められている。原子炉建屋の滞留水からは、下流側の建屋の滞留水と比較して、より高い濃度の核種が検出された。今後、原子炉建屋の滞留水の処理を進めるにあたり、核種を効果的に除去する技術を検討する必要がある。その検討の前提となる核種の存在状態の把握を目的に、2号機トーラス室の滞留水に含まれる粒子状核種に焦点を当て、その粒子サイズや化学形態等の分析・調査を行った。SEM-EDXやトラック法を用いて核種を多く含む粒子を検出した結果、Uは数百nmから数m程度の粒子状で、その他の核種(Pu, Am, Cm)は鉄酸化物粒子上に多く分布することを明らかにした。
安田 健一郎; 鈴木 大輔; 宮本 ユタカ; 宇佐美 秀彦*
no journal, ,
保障措置環境試料分析手法で用いられるプルトニウムやウラン粒子の同位体組成分析は原子力施設等における未申告活動を検知する手段として重要であり、アルファ壊変により放出されるアルファ線の飛跡を検出するアルファトラック(T)法や、中性子誘起核分裂により生じる核分裂片の飛跡を検出するフィッショントラック(FT)法が多用されている。しかしながら、これらの方法は粒子の位置情報を得ることのみを目的としているため、核物質の組成や量の想定は困難であった。本発表では、同じ範囲を対象に各トラック法を適用し、それにより得られた個々の粒子に由来するT数とFT数のデータを組み合わせることで核物質の組成を推定し、粒子の高感度かつ選択的に検出する手法を開発した。ポリカーボネイト製フィルムに閉じ込めた粒子試料を作成し、それぞれのトラック検出材の飛跡を重ねて観察することで、保障措置上重要性の高いプルトニウムや高濃縮ウランを含む粒子の高感度で選択的に検出することが可能となった。
蓬田 匠; 大内 和希; 森井 志織; 岡 壽崇; 北辻 章浩; 駒 義和; 今野 勝弘*
no journal, ,
3号機滞留水中の固形分の多数の粒子状物質の中から、核種を含有する微粒子の検出を試みた。SEM-EDXを用いる元素分析により、粒径数百nmから10m程度のUを主成分とする微粒子を検出した。また、アルファトラック法により、粒径100m程度までの鉄粒子上に核種が分布する様子を観測できた。
蓬田 匠
no journal, ,
福島第一原子力発電所(1F)廃炉作業の一環として、原子炉建屋に存在する滞留水の処理が進められている。我々のグループでは、滞留水処理を安全かつ円滑に行うために必要な核種の存在形態の把握を目的に、2号機トーラス室の滞留水に含まれる粒子状核種の粒子サイズや化学形態等の分析・調査を行った。SEM-EDXやトラック法を用いて核種を多く含む粒子を検出した結果、Uは数百nmから数m程度の粒子状で、その他の核種(Pu, Am, Cm)は鉄酸化物粒子上に多く分布することを明らかになった。得られた核種の存在形態は、滞留水からの核種を含む粒子を除去するための浄化装置の設計に用いられている。